・本稿の内容
最少二乗推定量の行列を用いた導出過程をメモします。重回帰モデルの説明変数の数は定数項を含めて個、データのサイズは個()として話を進めます。
Ⅰ:準備
変数関数をの関数と考える。のによる偏微分は以下のように定義される。
、としたときに、以下の公式が成り立つ。
公式1
公式2
公式1と公式2が成り立つことを確認する。単純化のために、(つまり、、)とする。
公式1の証明
公式2の証明
、としたときに、以下の公式が成り立つ。
公式3
公式4
が対称行列であれば
公式3と公式4が成り立つことを確認する。単純化のために、(つまり、、)とする。
公式3の証明
公式4の証明
であるから、公式3より、
Ⅱ:最少二乗推定量の導出
個の説明変数を持ち、データサイズが個である重回帰モデルを考える。
行列表記を用いると、
と書ける。本稿では定数項を持つ重回帰モデルを考えるため、以下でははとする。定数項を持つ場合の重回帰モデルは以下のようになる。
行列表記を用いると、
と書ける。
とおいて、表記を簡略化する。
①式を整理すると、
と書ける。残差二乗和が最小になるようなを求めていく。*1は
④式の右辺を項別に見ていく。
1.について
はと関係がないため、
2.について
Ⅰ:準備で確認した公式1を用いて、
3.について
Ⅰ:準備で確認した公式2を用いて、
4.について
は対称行列であることに注意し、Ⅰ:準備で確認した公式4を用いて、
1~4の結果をまとめると